盛岡タイムス 2004年 9月 1日 (水)        

■  上田一里塚の松倒れる 台風16号の強風で被害

 大型で勢力の強い台風16号が8月31日、県内をかすめて通過した。県内は同日未明から雨足が強まり、盛岡市内では午前9時過ぎから風雨が激しさを増して各地につめ跡を残した。盛岡市で瞬間最大風速28・2メートルを観測、総雨量は雫石町葛根田で86ミリ、盛岡市で44ミリを記録した。今回の台風は1991年9月に東北地方に大きな被害をもたらした「リンゴ台風」とコースが似ていて今回も果樹被害の拡大が懸念される。盛岡市緑が丘では文化財一里塚の松が倒れた。

盛岡市緑が丘4丁目で強風にあおられ、倒れた県指定史跡上田一里塚の松(31日正午すぎ)
【写真】盛岡市緑が丘4丁目で強風にあおられ、倒れた県指定史跡上田一里塚の松(31日正午すぎ)

 倒れる瞬間に雷のような音
午前9時45分ごろ、盛岡市緑が丘4丁目地内のアネックス川徳と市道の間にある県指定史跡上田一里塚の松の木が強風にあおられて倒れた。高さ14・8メートルある松の木が根元から倒れた。悪天候だったことや川徳の開店前だったためけが人は出なかった。建物への被害もなかった。

 現場にいた人の話では、同時間ごろ同地域では看板が倒れたり、飛ばされたりする突風が吹いていた。一里塚の松が倒れる瞬間は「雷が鳴るようなバリバリという音」がした。

 通報を受けた警察が所有する盛岡市教委文化課に連絡。県の現状変更の許可を得て、同課職員と工事業者が松の木を伐採、撤去した。上田一里塚は塚と松の木のセットで指定されているが、指定は解除されない。伐採した木は一里塚にまつわるイベントなどを開く地元に対して活用させる考え。

 上田一里塚は92年3月27日に県の史跡指定を受けた。徳川幕府の国内統一事業の一環として慶長9年(1604年)、奥州街道に築造された。城下鍛冶町(現紺屋町)から北へ一里(約4キロ)の距離を示している。


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