盛岡タイムス 2005年 5月 31日 (火) 

       

■ 上田一里塚のアカマツ復活へ 盛岡市文化財保護審が了承

     
  アカマツの植栽計画が進められている上田一里塚(左)  
  アカマツの植栽計画が進められている上田一里塚(左)  
  盛岡市緑が丘4丁目の県史跡・上田一里塚にアカマツを復活させる計画が進められている。上田一里塚では昨年8月31日、台風16号の強風で頂部から立っていたアカマツが倒伏し撤去された。地元商工業界や住民が愛着のある風景を取り戻そうと、植栽を所有者の市に相談していた。市文化財保護審議会の了承も得られたことで、県文化財保護審議会委員の了承や現状変更届などを経て7月下旬の植栽を目指している。

  地元では倒伏、撤去からほどなく、関係町内会、緑が丘・黒石野商工業会など地元団体で、一里塚松の有効活用検討委員会(吉津賢次郎委員長)を組織、協議してきた。倒れたアカマツ材の地元での活用と一里塚への植栽の方向性を出していた。


  市教委では県教委から植栽は可能との回答を得て、検討委にも報告。地元では市グリーンバンク制度を活用して植栽したい方針だ。30日の市文化財保護審議会で計画が了承された。

  審議会の竹原明秀委員が現地を調査している。竹原委員は頂部に最初は樹高2メートル程度の苗木を5本植え、成長後、樹勢の良い木を残し最終的に1本を成長させるようアドバイス。一里塚周辺の環境変化と周囲に植栽されているサワラヒバの生け垣が2メートル以上に成長し、風通しが悪くなり塚の乾燥が進んでいる状況がアカマツの生育環境にマイナスと指摘される。このためサワラの刈り込みや移植も提言されている。

  吉津委員長は、植栽の方向がほぼ固まったことに「倒れたときは地元には自分の人生を重ねていた人もあって悲しかったが、ありがたいこと」と話す。

  倒れたアカマツを使って一里塚に杭を巡らす計画も進行中。「倒れたマツも百数十年のもので400年の一里塚の中で植え替えられ受け継がれてきたのだと思う。次の代に受け継いでいけたら」と話している。

  地域では7月23、24日に予定する一里塚まつりの期間に植樹をしたい意向だ。

  上田一里塚は盛岡城下の鍛冶町一里塚から北に向かった奥州道中で最初の一里塚。昭和初期までは2基が街道の両側にあったが、現在は西側の1基だけになっている。約400年前の慶長年間の築造とみられている。1992年に県史跡に指定され、現在は市が敷地一帯を購入して管理している。

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