盛岡タイムス 2005年 7月 24日 (日) 

       

■ 上田一里塚の松を復活へ 地域の願いで植樹実現

     
  上田一里塚で行われたアカマツの植樹式  
 
上田一里塚で行われたアカマツの植樹式
 
  盛岡市緑が丘4丁目の市道沿いアネックス・カワトク脇の県指定史跡上田一里塚で23日、アカマツの植樹式が行われた。昨年8月31日に台風16号の強風で樹齢120年のアカマツが倒れた。緑が丘、黒石野地区の住民らが地域のシンボルである神木を新たに復活させ、次世代に引き継ごうと実現した。

 植樹は23、24の両日開かれている第16回一里塚まつり(同実行委員会の主催)に先立って行われた。アカマツは単独で成長できないため、中央に2・5メートルの1本を植え、周囲に4本を植えた。

  一里塚は江戸時代、街道に1里(4キロ)ごとに築かれた往来の道標。上田一里塚は奥州街道、城下盛岡の鍛治町(現紺屋町)から4キロ北にある最初の塚になる。慶長9年(1604年)の築造で街道両脇に各1基、1対になっているが西側だけ現存する。92年に県指定史跡になった。

  アカマツは高さ約15メートル、周囲2・4メートルに生長していたが、昨年の台風で根元から倒れた。木は伐採され、緑が丘黒石野商工業会に活用が託された。同会では今回、新たなアカマツを囲むくいや、一里塚脇に設置するベンチに利用することにした。端材は焼却され、灰として今回の植樹で土に混ぜられた。

  植樹式で倒伏有効活用検討委員会の吉津賢次郎代表は「この植樹が歴史の継承、文化財保護意識高揚の一助となることを願う。アカマツが元気にすこやかに育ち、この思いが100有余年を経て再びシンボルとしてこの木に刻まれるよう祈念する」とあいさつした。

  谷藤裕明市長は「復活させたいと願う地域の熱い思いで植樹が開かれるのは喜びにたえない。先人の意思を引き継ぎ歴史的遺産を残すこの席に名を連ねることは光栄」と地域の一層の発展を願った。

  地元の幼稚園、保育園、小中学校の子供たちも参加し、植樹のセレモニーで役割を担った。市立くろいしの保育園の栗谷川知紀ちゃん、八角美帆ちゃんは「アカマツと一緒に元気に大きくなっていきます。いつまでも見ていてください」と誓いの言葉を述べた。

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